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最高裁判所第二小法廷 昭和51年(行ツ)9号 判決 1976年4月30日

上告人 東京芝浦電気株式会社

右代表者 玉置敬三

右訴訟代理人 寒河江孝允

同弁理士 鈴江武彦 外三名

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人鈴江武彦、同小宮幸一、同寒河江孝允の上告理由一について

実用新案登録出願にかかる考案の進歩性の有無を判断するにあたり、右出願当時の技術水準を出願後に領布された刊行物によつて認定し、これにより右進歩性の有無を判断しても、そのこと自体は、実用新案法三条二項の規定に反するものではない。原判決が本願考案出願後の刊行物である甲第六号証の二によつて右出願当時の技術水準を認定したにすぎないものであることは、同号証の記載及び原判文に徴し明らかである。ひつきよう、原判決に所論の違法はなく、論旨は、独自の見解に立つて原判決の違法をいうにすぎないものであつて、採用することができない。

同二について<省略>

よつて行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判官 岡原昌男 裁判官 大塚喜一郎 裁判官 吉田豊 裁判官 本林譲)

上告代理人鈴江武彦、同小宮幸一、同寒河江孝允の上告理由

一、第一点(取消事由第一点に関する誤り)

原判決理由第一点において引用する甲第六号証の二は、本件考案の出願以後に刊行された文献であつて、同号証をもつて本件考案出願当時の技術水準であるかのように引き合いに出すのは明らかに実用新案法第三条第二項に違反するものである。

すなわち原審において上告人は、本件考案出願当時の技術水準としてはガスレーザ放電管の材料として酸化ベリリウム(ベリリア)を用いることが技術的に困難であつた旨主張した。

これに対して原判決は上告人の提出した甲第六号証の二を引用し、熱衝撃との関連において、アルゴンレーザの放電に用いられあるいは利用できるだろうセラミツク材料として酸化ベリリウムが挙げられていることを認めることができるとし、またこの記載に基づき出願当時セラミツク材料の気密性の問題が酸化ベリリウムを放電管管体に用いるという着想を阻害する程の障害になつているとは考えられないと判示している。

実用新案法第三条第二項における容易推考の基礎となる考案は、刊行物の場合実用新案登録出願前に頒布されたものに記載されたものでなければならない。

本件考案の出願日は昭和四〇年七月八日であるのに対し、甲第六号証の二は本件考案出願後の昭和四一年六月に刊行されたものであるから、この文献の記載によつて本件考案出願時の技術水準とすることは許されないことであり、実用新案法第三条第二項に明らかなに違反するものである。

二、第二点<以下、省略>

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